「知的資産」とは②
「知的資産とは①」では、知的資産に類似する言葉の例として「知的財産」と「ナレッジマネジメント」を挙げました。
そのうえで、知的資産はどういう位置づけなのかを探ります。
では、まずは経済産業省による知的資産の説明を見てみましょう。
「知的資産」とは、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド等の目に見えない資産のことで、企業の競争力の源泉となるものです。
これは、特許やノウハウなどの「知的財産」だけではなく、組織や人材、ネットワークなどの企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方であることに注意が必要です。
キーワードになるのは、「目に見えない資産」と「企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方」という部分です。そこで、これら二つのキーワードを掘り下げて考えてみます。
まずは「目に見えない資産」です。
少し回りくどい言い方になりますが、知的資産が「目に見えない資産」であるとするならば、「目に見える資産」は知的資産ではないということになります。だとすれば、事業を営むことにおいて、目に見える資産とは何でしょうか。
何よりもまずはお金ですね。硬貨や紙幣はもちろんのこと、金融機関に預けてあれば通帳で確認できます。現在、自分の会社にはどれだけのお金があるのか、又はないのか。これを把握するには数字として目に見えなければ経営が成り立ちません。
他にはどうでしょう。
会社の建物や土地も目に見える資産ですよね。製造業等で機械を備えているならこれもそうです。さらに、商品として売り出す物も目に見えます。商品が売り残ってしまうと在庫になると考えれば分かりやすいかもしれません。
こうした目に見える資産には共通した特徴があります。
それは、財務諸表(決算書)に表すことができるという特徴です。すべてがすべて当てはまるわけではありませんが、目に見えるということは、財務諸表で数字として表すことができます。ですから、資産としての価値を評価しやすいとも言えるわけです。
これを受けたうえで、目に見えない資産、つまり知的資産はどうかというと、目に見える資産の反対ですから、財務諸表には表すことのできない資産となるわけです。ですから、資産としての価値の評価が難しいと言えることになります。オフバランスな資産という言い方もできますね。
これがキーワードのひとつ、「目に見えない資産」となります。
次回は、もうひとつのキーワードである「企業の強みとなる資産を総称する幅広い考え方」について見ていきましょう。