下請法のガイダンス

中小企業庁のホームページを見ると、「下請取引の適正化・官公需支援」として下請取引に関する情報ページが提供されています。また「下請かけこみ寺」を全国に設置するにとどまらず、「中小企業取引相談目安箱」や「中小企業取引ホットライン」の設置においても下請事業者からの相談を受け付けています。

こうした背景には、下請事業者と親事業者の下請取引が適正ならばいいのですが、不適正な下請取引によってトラブルが生じる下請取引が多いことを受けての対応のようです。

 

下請取引のトラブルには、親事業者が意図を持って下請事業者に悪質な下請取引を課しているケースだけではなく、親事業者が知らずに不適正な下請取引を課してしまっていたり、下請業者が知らずに辛い下請取引を引き受けてしまっているケースがあります。そこで、健全で適正な下請取引をしていただくためにも、下請法をご紹介していきましょう。

初回は、ガイダンスとして下請法の概要に触れていきます。

 

下請法は、正式には「下請代金支払遅延等防止法」と言います。

親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律です。親事業者は下請事業者より立場が上ですから、そうした関係を文字通り濫(みだ)りに用いて親事業者が有利な取引を行うことを取り締まる、ということですね。

ここで、「優越的地位の濫用行為を取り締まる」法律といえば独占禁止法(正式名称「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)があります。元々は独占禁止法において下請取引を取り締まっていたのですが、独占禁止法による取り締まりは個別の問題を認定するのに時間がかかったり、下請事業者が親事業者に取引を打ち切られることを恐れて申告しないといった問題があったようです。そこで独禁法の特別法として制定されたのが下請法です。

 

下請法では、以下に示すような下請取引に関する「決まり事」が記載されています。

●下請取引とは、どのような取引のことを言うの?(第二条)

●どんな事業者が親事業者で、どんな事業者が下請事業者なの?(第二条)

●親事業者がしなきゃならないことって?(第二条の二、第三条、第四条の二、第五条)

●やっちゃいけない下請取引ってどんな取引?(第四条)

●不適切な下請取引をしたらどうなるの?(第六条、第七条、第九条)

●罰則はあるの?(第十条)

 

適正で健全な下請取引をすることは、親事業者と下請事業者が長期的に共に利益を得ていく、WinWinの関係を続けていくことにつながります。そのためにも、下請法を正しく守ることが第一歩です。

次回からは、下請法の中身を探っていきましょう!

 
 

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