福井県でNPO法人を設立するには?【福井県で創業しよっさ!】
特定非営利活動(NPO)法人は、社会的な活動を行う法人としてすっかり日本でも定着した法人形態です。
特定非営利活動促進法(通称NPO法)が成立したのは1998年12月。20年以上が経過する間も大幅な改正を何度か行い、国民が社会貢献を行う上で検討される法人の代表格となったのではないでしょうか。2020年4月30日現在では、福井県では252法人が存在し、全国では5万を超えています。
それでは、NPO法人を福井県で設立するには、どんな手続きをどこで行うとよいか見ていきましょう。
NPO法人設立の流れ
まずはNPO法人を設立するための流れを簡単に。
ここでは手続き等を中心に取り上げるので、設立の流れもこれに倣って見ていきます。ただし、手続きに必要な手数料や各種書類の内容・添付書類等には触れませんのでご了承ください。
- 設立するNPO法人の大枠の決定
- 「ふくい県民活動・ボランティアセンター」での事前相談
- 設立発起人会・設立総会の開催
- 「ふくい県民活動・ボランティアセンター」への申請書類の作成・提出
- 設立認証の決定・通知の受取り
- 役所・役場にて印鑑登録証明書の取得
- 法人の印鑑作成
- 設立登記申請書の作成
- 法務局にて設立登記の申請
- 「ふくい県民活動・ボランティアセンター」への設立登記完了後の書類提出
- 設立後の各官公署への書類提出
以上、設立の流れとなります。
NPO法人の設立は、これまで見てきた株式会社、合同会社、一般社団法人の設立とはまったく異なります。所轄庁(NPO法人の認証権及び監督権を持つ行政機関)との関わりが重要になるのがNPO法人の設立です。
それぞれ見ていきましょう。
設立するNPO法人の大枠の決定(①)
まずは、設立するNPO法人に関する大枠を決めましょう。
どうしてNPO法人を設立するのか、NPO法人を設立して何を行うのか・なぜ行うのか、設立や活動に必要な人員の確保はどうするか、どのくらいの規模になるのか、活動の計画はどうするか、資金の調達はどうするか、といったこれからNPO法人を設立して活動していくための大枠です。
例えば福祉事業を行いたい場合は、福祉事業の許可申請時に法人であることが求められるのでNPO法人を説明する理由は分かりやすいでしょう。しかし、単純にボランティア活動を行いたいという場合、NPO法人でなければならない理由を説明できるでしょうか。任意のボランティア団体ではなくNPO法人じゃないとならない理由は重要なポイントです。
こうしたNPO法人を説明するにあたっての大枠を決め、きちんと書面に書き記しておくことから始めてください。
「ふくい県民活動・ボランティアセンター」での事前相談(②)
「ふくい県民活動・ボランティアセンタ」とは
福井県でのNPO法人に関することは、一にも二にも「ふくい県民活動・ボランティアセンター」というくらい重要な機関です。
NPO法人の設立はもちろん、NPO法人運営の相談を受けてくれますし、NPO法人に関する図書や冊子の情報、資料の作成設備もあり、福井県でNPO法人やボランティア団体で社会貢献活動を行うには欠かせません。
何より、NPO法人設立に必要な書類の提出先でもあり、設立後に必要な書類も提出していくことになります。
以下、「ふくい県民活動・ボランティアセンター」の概要です。
ふくい県民活動・ボランティアセンター
住所 | 〒910-0858 福井市手寄一丁目4番1号 AOSSA7階 | ||
TEL | 0776-29-2522 | FAX | 0776-29-2523 |
サイト | http://info.pref.fukui.jp/danken/npo/index.php | ||
メール | f-npo-c@pref.fukui.lg.jp |
事前の相談に行く
最初に設立するNPO法人について大枠を決めたら、ふくい県民活動・ボランティアセンターに電話等で予約を入れて事前の相談に行きましょう。
NPO法人設立を解説した書籍等では、設立に必要な申請書類を作成してから、又は申請書類をある程度仕上げてから所轄庁へ相談・提出する、といった設立の流れを示しているものを多く見受けられます。
福井県では、NPO法人を設立したい場合には、申請書類を作成する前に必ずふくい県民活動・ボランティアセンターに事前相談を行い、担当職員の方に設立の流れの説明を受けましょう。ただし、まったく準備もしないで事前相談に行っても説明を受けるのみになってしまうので、先述した大枠を決めて、自身の設立したいNPO法人について伝えられるようにすると、その後の設立においてのアドバイスもしてもらえます。
設立発起人会・設立総会の開催(③)
設立発起人会の開催
事前相談で設立までの流れの説明は受けますが、事前相談後にNPO法人設立へと本格的に進む決断ができたら、設立のための書類作成へと移ります。
設立発起人会という言葉は便宜上で使用しているだけですが、まずは設立するNPO法人の主要メンバーで集まって申請書類の原案を作成することになります。とはいえ、いきなり原案作成といってもどう手を付けていいか分からないと思います。そこで、設立総会は必ず開催しなければならないので、まずは設立総会で承認が必要なことを設立発起人会で決めましょう。
ありがたいことに、ふくい県民活動・ボランティアセンターのホームページには「設立総会の議事録の謄本」としてワードファイルに議事内容も示してくれています。議案が9つ記載されていますので、必要な事項をそれぞれ決めていきます。定款案、事業計画案、活動予算案はなかなかに大変だと思いますし、他の事項についても最初は悩みますが頑張りましょう。
設立総会の開催
設立発起人会で、設立総会で承認が必要な事項が決まれば、実際に設立総会を開催します。
設立総会では、設立時に社員となる人たちも集まって開催し、設立したいNPO法人について主要メンバーが説明できるようにしましょう。作成した書類の原案も示して承認を得られるようにしてください。
設立総会は、残念ながら議事録だけ作成して実際に開催しないことも見受けられることが少なくありません。こうしたやり方が、これから社会貢献活動を行っていく法人にとって適切かどうかも考えましょう。法令や手続きを遵守することは当然です。
申請書類の作成・提出/設立認証の決定・通知の受け取り(④・⑤)
申請書類の作成・提出
設立総会を終えたら、実際の申請書類を作成していきます。
各申請書類はふくい県民活動・ボランティアセンターのホームページからダウンロードできます。それぞれダウンロードして作成していきましょう。書類の中で、設立趣意書は戸惑うこともあるかと思います。その他の書類と合わせて、ふくい県民活動・ボランティアセンターとその都度やり取りを繰り返しながら進めていくことになります。
書類ができれば、提出もふくい県民活動・ボランティアセンターに行います。担当者の方に最終的なチェックを行ってもらい提出してください。
設立認証の決定・通知の受け取り
書類の提出が終わり無事に受理されたら、縦覧期間といって一般に公開され閲覧される期間が1ヶ月間あります。また、縦覧期間を含め受理後3ヶ月以内に認証・不認証が決まります。
設立が認証された場合は認証書が、不認証の場合にはその通知が届きます。
認証されたら設立登記手続きに入ります。不認証であれば、その旨をふくい県民活動・ボランティアセンターの担当者に伝え、修正提出や再申請について相談しましょう。
設立登記申請に向けた準備(⑥・⑦・⑧・⑨)
NPO法人設立の申請書類が受理されて認証書も受け取ったら、受け取った日から2週間以内に法務局で設立登記の申請を行わないといけません。2週間は思った以上に早い期間ですので、現実的にはふくい県民活動・ボランティアセンターに申請書類を提出し受理されてから認証書を受け取るまでの間に、設立登記に向けた準備をしておくとスムーズに手続きを行うことができます。
以下、設立登記に向けて準備しておく事項と申請に関することです。
役所・役場にて印鑑登録証明書の取得
印鑑登録証明書の説明に関しては、「福井県で株式会社を設立するには?役所・役場にて印鑑登録証明書の取得(①)」を参照してください。
尚、NPO法人の設立において印鑑登録証明書が必要なのは、代表者(理事長等)1名が1通発行しておけば足ります。法務局で法人の印鑑登録を行う際に使用します。代表者がお住まいの地域の役所又は役場で印鑑登録していない場合には速やかに登録しましょう。
法人の印鑑作成
NPO法人の印鑑作成の説明に関しては、「福井県で株式会社を設立するには?会社の印鑑作成(②)」を参照してください。
株式会社と同様、NPO法人も代表者印(実印)、銀行印、角印(認印)の3本を作成するのが通例です。
設立登記の準備と申請
設立登記申請書の作成に関しては、「福井県で株式会社を設立するには?設立登記の準備と申請(⑤・⑥)」を参照してください。
ただし、NPO法人では「資本金の払込み」は必要ありませんのでご注意ください。
また、NPO法人の設立登記申請では、ふくい県民活動・ボランティアセンターに提出した申請書類のうち「定款」と「就任承諾および誓約書の謄本」、そして「認証書」をそれぞれ原本証明をして添付します。これについてもふくい県民活動・ボランティアセンターの担当者に確認しておくといいです。
先述したとおり、設立登記の申請は、認証書を受け取ってから2週間以内です。期間内に申請できるように気を配ってください。
NPO法人の設立登記に必要な申請書類の法務局ホームページは以下のリンク先から取得できます。記載例を参考にされるとよいでしょう。
「ふくい県民活動・ボランティアセンター」への設立登記完了後の書類提出(⑩)
設立登記が完了したら晴れてNPO法人が設立となりますが、その旨をふくい県民活動・ボランティアセンターに報告しなければなりません。
「設立登記完了届出書」と登記事項証明書、設立時の財産目録を登記完了後に速やかに提出してください。
設立後の各官公署への書類提出(⑪)
NPO法人も株式会社と同様に、設立後に必要な書類を各官公署に提出しなければなりません。
こちらについては、「福井県で株式会社を設立するには?設立後の各官公署への書類提出(⑦)」を参照してください。
いかがだったでしょうか。
NPO法人の設立は、所轄庁との関係が重要なだけに大変な部分もあります。ですが、ふくい県民活動・ボランティアセンターのアドバイスを受けながら進めることができるので時間は要しても一つずつクリアしていけるはずです。
創業・起業の選択にNPO法人を検討する場合のご参考になれば幸いです。